今、歯科検診をはじめるべき10の理由(後編)

こんにちは、デンタルサポート検診課です。

健康保険組合の保健事業での実施のほか、最近は「健康経営」の施策としても実施する企業が増えつつある歯科検診ですが、コロナ禍のなかでの歯科検診等予防アプローチの必要性についてはどのように考えていけばよいのでしょうか。

私たちは、それを「不要不急」のものではなく、「今」必要なものとしてとらえ、そこには少なくとも10の理由があると考えています。

前回はその①~⑤をご紹介しました。
今回はその続き、⑥~⑩をお話ししたいと思います。

歯科の予防アプローチが「今」必要な理由(6~10)

6.糖尿病リスクとの関係

糖尿病では免疫が低下することが知られています。高血糖の状態になると白血球などの働きが低下してしまい、さまざまな感染症にかかりやすくなります。プラークの菌に対しても同じで抵抗力が低下するので歯周病になりやすくなります。
高血糖の影響で歯のさまざまな組織が劣化したり、歯の周囲の血行が悪くなることも関係すると考えられます。
では、歯周病はなぜ糖尿病に影響するのでしょう。1つは、歯周病の菌から出る毒素が血液を介して全身に広がり、それがインスリンの働きを低下させ血糖値を上げると考えられます。
もう1つは、歯周病による炎症が関係しています。炎症は生体の傷害に対する防御反応ですが、その防御反応のため特殊な細胞が集まってきます。またさまざまな伝達物質(炎症物質)が体内を駆けめぐります。そうした細胞や炎症物質が、やはりインスリンの働きを妨げてしまうと考えられます。

糖尿病の方は、歯周病の治療も並行して行うといいでしょう。

7.アルツハイマー型認知症との関係

歯周病菌がアルツハイマー型認知症と深い関係があることが九州大学の研究で解明されました。
「アミロイドβ」※などの異常なタンパク質の蓄積が原因で脳が萎縮して、認知機能が低下するという見解が示されています。
歯周病菌に感染したマウスの脳血管の表面では、アミロイドβを脳内に運ぶ「受容体」と呼ばれるタンパク質の数が約2倍に増え、脳細胞へのアミロイドベータの蓄積量も10倍に増えたそうです。

※「アミロイドβ(ベータ)」は脳内で作られる、たんぱく質の一種です

九州大学「歯周病菌感染は全身の脳老人斑成分を脳内輸入させる」
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/466

8.がんとの関係

「口腔内細菌が食道がんの危険因子に」このようトピックスが、東京医科歯科大学より発表されています。
口腔内細菌のうちの歯周病にかかわる細菌が、がん組織から検出されたことが報告されました。本来、胃の中にある酸が殺菌してくれるから、お口の中に細菌がいても大丈夫という風に思いがちですが、歯周病菌には細胞間をワープできたり、酸に強い細菌もちえ、血管に入って、全身に移動していく細菌もいます。悪いものはからだに入り込んでしまうと、決して良いことはないのです。
私たちが罹りたくない病気には、歯周病というきっかけから生まれるものが多いということになります。歯周病は予防が何より大切ですね。
 

9.お口の状況は体力維持にも関係する

「口の虚弱(オーラルフレイル)」が注目されています。口の衰え、機能低下が全身のフレイルと要介護につながる悪循環の「入り口」となり、健康寿命を縮めるからです。「食事を食べこぼす」「お茶や汁物でむせる」「硬い物が食べづらい」「滑舌が悪くなる」―などといったことがオーラルフレイルの具体的な兆候です。
 しかし、それだけでなく、歯が1本でも調子悪くなると、自然に食べ物が柔らかいものに偏っていき、
少量でカロリーを摂取できるものへと移行していきます。ここから、噛む回数も減り、オーラルフレイルが始まっていきます。 
よく噛んで食べられる歯があること。よく噛むためのお口の周辺や舌の筋力があること、唾液がお口に潤っていることが、とても大切になります。
東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授は「オーラルフレイルは、口の機能のささいな衰えから始まり、やがて要介護につながってしまう、“老いの坂道”の入り口だが、その症状は、普段の食習慣や歯科医院への通院で気づける項目が多く、予防や早期発見が可能です」と指摘しています。

オーラルフレイル サンスター https://jp.sunstar.com/oral-frail/check/
時事メディカル 医療ニュース  https://medical.jiji.com/topics/1560

10.歯科医院での感染症は報告されていない

歯科医院受診による新型コロナウイルス感染をご心配の方も多いかもしれません。
しかし「歯科医院クラスター」が発生したという報道は聞かないことからもお判りのように、歯科医院で取り組んでいる新型コロナ対策が万全なことを表している結果だと思います。

「歯科医院はお口の中を診るのでクラスターや感染が起こりやすいと思うかもしれないが、従来からやさまざまな感染症に対策をしています。 

歯科医院では唾液や血液を扱うため、グローブやゴーグルの着用、診療ごとのグローブの交換や、器具の滅菌やディスポーザブルの器具の使用など、以前からレベルの高い感染対策を行なっているのです。

口腔内の細菌を減らし免疫力を高めることが感染症の抑制に

もちろん私たちが行っている出張歯科検診でも、実施事業所様とのご調整を元に
次の対策をとって、安全に進めるようにしています。

・スタッフの体調と体温の確認を徹底
・手洗い・うがい・アルコール除菌の徹底(手指、機材、テーブル、椅子等)
・マスク及びフェイスガード等の着用と受診者様ごとグローブ消毒、交換の徹底
・会場およびブースの常時または定時換気の実施

そしてそれ以上に、歯科医院でのアプローチそのものが、口腔内の細菌を減らし免疫力を高めることにつながり、新型コロナウイルスの発生を抑えているのだと考えています。